ツーバイフォー構造設計のシンシア構造計画

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「宇宙からの帰還」を読んで

 たぶん今年の春、再放送で NHKスペシャル 立花隆 最後の旅 を見たんです。「知の巨人」と呼ばれる立花氏が、語りながら伝わらないことにイライラしている様子だったのが印象的で、ちょうど私がこの世界情勢とあいまって宗教とか哲学とかに少し興味を持っている時期だってのもあって、この人は何を言いたかったのかなと思って気になっていたのですが、最近著作を少し読んでみました。

「宇宙からの帰還」は私が生まれた年に出たものなので、私が生きてきた世界にはこの本があって大人の中にはこの本を読んだ人もいて私はそういう人から教わってきたのだろうしそういう人が作ったテレビや漫画を見て育ったのだから当然なのかもしれませんが、私が最近になって世の中はこういうことなんじゃないかと描いた世界像が、宇宙飛行士の語るものと一致していてとても驚きました。初めて読んだ人間が知っていたということですから、人間全体の中のある種の感覚器官として宇宙飛行士が体験した情報・知識が蓄積され伝播していっているということの証明ではないでしょうか。人間全体の中の私がまたそれを家族にそれとなく伝えていく。読んだことなくても知っている、感じていることになっていく。

 人類というか人間という集合体を時間的空間的に俯瞰でとらえたとき、いま私がやっている子育てとか仕事とか近所づきあいとか投票とか、いち個体の行動ではあっても全体の構成要素なんだなと思います。私が考えていることは全体が考えていることの一部だということ。私ひとりが正しいと思う選択をしながら生きることは、今生きるウン十億人、過去と未来のウン兆人のなかの1人のひとつの行動であって、ほんの取るに足りないことだけど、でも重要なことだということ。ぼくの臓器をつくる細胞のように、この持ち場で真っ当に生きて全うしたいと思います。

 みなさん運動会で大玉送りをやったことがある人が多いと思いますが、あれって別に自分ひとり手を出さなくても大玉は進むし、自分じゃないところで大玉が落ちて「なにやってんだよ」と感じることがあると思うんです。リーダーが作戦たてて真ん中に背の低い人がとかカーブの外側は背の高い人が立ちましょうなんて決めたらそりゃスムーズですけど、一番大事なのはチーム全員が「大玉をちゃんと送ろう」と思っているかどうかじゃないですか。大玉が落ちたら、責任はリーダーの指示がしっかりしていなかったとかその場所の担当が悪いと考えるのではなく、チームの構成要素としての自分にも責任があると考える。私はチームスポーツをやってきた人間ではありませんが、自然とそれが正しいもんだと思っています。

 こういう話は選挙のシーズンに投票に行こうっていうのとセットで耳にタコができるほど聞いてきたかもしれませんね。でもいまは言葉じゃなくて実感として理解しています。

 さてさて、ここにきて未曽有の核戦争の危機です。世界大戦への分水嶺、薄氷の上です。「チーム人類」が大きな失敗を犯すかもしれません。私の真上に大玉があるわけではないので、手も出せないし何ができるわけでもないですが、私はこの場所にいながらどうか未来にちゃんとバトンをわたしてほしいと願っています。チーム全員がそう思っていないとうまくいかないハズだからです。

 最後に「宇宙からの帰還」の中から、東西冷戦の時代に米国人宇宙飛行士が語った言葉を引用させてもらいます。
「眼下に地球を見ているとね、いま現に、このどこかで人間と人間が領土や、イデオロギーのために血を流し合っているというのが、ほんとに信じられないくらいバカげていると思えてくる。」
「地球にいる人間は、結局、地球の表面にへばりついているだけで、平面的にしかものが見えていない。平面的に見ているかぎり、平面的な相違点がやたらに目につく。(中略)しかし、そのちがいと見えるすべてのものが、宇宙から見ると、全く目に入らない。マイナーなちがいなんだよ。(中略)相違は現象で、本質は同一性である。地表でちがう所を見れば、なるほどちがう所はちがうと思うのに対して、宇宙からちがう所を見ると、なるほどちがう所も同じだと思う。人間も、地球上に住んでいる人間は、種族、民族はちがうかもしれないが、同じホモ・サピエンスという種に属するものではないかと感じる。対立、抗争というのは、すべて何らかのちがいを前提としたもので、同じものの間には争いがないはずだ。同じだという認識が足りないから争いが起こる。」

 

日々のできごと   2022/10/12   sincere
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